漫画執筆日記

趣味で漫画を描く人のブログ

鳥山明のすごさ

昨日、久々にマッサージを受け、その後漫画喫茶に行ってきました。

目的は、執筆中の漫画の飛行機の機内のシーンがどうしてもかけなくて、漫画の中のシーンで参考になるものを探すことです。

そこで、思いついたのがドラゴンボール天下一武道会へ行くときのシーン。

初めのころ天下一武道会へは飛行機で行くのですが、それを思い出し、3巻辺りから手に取り久しぶりにドラゴンボールを読みはじめたら、つい読んでしまい10巻分くらいバーッと読んでしまいました。

 

本格的に絵を描くようになって、改めて読んだドラゴンボールですが、今回は、漫画の面白さとともに鳥山明の絵の才能を肌で感じることができました。

鳥山明の絵は、子どもや絵の素人が見れば、自分でもこれくらい簡単に描けそう!と思わせるような、シンプルで自然な印象が特徴です。

 

シンプルで自然と言っても少し抽象的なので、もっと、具体的に絵を数年描いてきた今の自分が感じた鳥山明の絵のすごいところ、才能を彷彿とさせるところを挙げていきたいと思います。

1.シンプルに見えるものも、細かい線がたくさん描かれている。

2.キャラ、背景の描写はすべて自分の絵のパターンに落とし込んでいる。

3.どのような角度、アングルからみた構図になっても、戦闘シーンでの動作が、自然で滑らか

4.全体としては、見る側にとってどう見えるかという点からの、絵としての完成度がとにかく高い

 

それに対して、デッサンの狂い、パースの正確性、背景と人物の大きさのバランス、筋肉の付き方、体の個々のパーツの形状といった細かい点から見れば、結構突っ込みどころがあったりするという発見がありました。例えば、この人物に対してこの家の小ささは絶対ないだろうというようなものです。

 

しかし、個々の絵の上手さにより、細部が多少不正確であっても、目で見て自然に見える範囲の不正確さであれば、全体としてみた時に、自然で見栄えがよい絵に見えてしまうのです。

細部の正確性より、見た目がよい絵として完成されていることが鳥山明の絵のすごいところだと思います。

そして、プロなので当然と言えば当然ですが、子どものころ教科書が落書きでいっぱいになるほど絵をたくさんかいていたというエピソード通り、絵を好きで描いていて、しかも、描きなれてるなという印象をうけます。

多分、絵を描く際の意識としては、パースの付き方、人物の大きさ、背景と人物の対比といった点については、正確に測って描こうとしているのではなく、大体、このくらいの大きさで描けば自然に見えるという事を感覚で測って描いているという印象です。

とくに、空中で戦うシーンなど、人物が宙に浮いていながら、パンチを繰り出したり、キックしたりといった、空中での動作シーンについては、鳥山明より自然にうまく描ける人はいないんじゃないかと思います。

 

だいたい、鳥山明を自分の絵の参考にする方は、悟空などキャラクターを参考にすると思いますが、私が目をつけたのは、背景です。

シンプルだけど、とても、見やすくわかりやすい絵になっている鳥山明の描く背景は、もっときっちり写真を写したように細部まで正確に描かないとダメだ。という意識のあった自分にはうってつけの背景の描き方です。

もちろん正確に描けることは重要ですが、私は絵で最も重要なのは、正確に描くことではなく、見る側にとって、見やすい絵、自然な絵、上手そうと思わせる絵であると考えます。

今回のドラゴンボールの読み返しは、今後の絵を描く際の参考にとてもよいヒントを提供してくれたし、また、いろんな絵を描きたい!という刺激をもらえてとてもよかったです。